别府星士朗「先程までの座標原点、2本のヤカン」
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この度soco1010では、ファッションデザイナー别府星士朗による個展「先程までの座標原点、2本のヤカン」を開催いたします。ぜひともご高覧ください。
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展覧会によせて
彼の作る服と、そこにしばしば添えられる言葉やドローイングは、それぞれが干渉せず独立して存在しているように見える。
元の規格を解体したシルエット。被写体を横切るオレンジの色面。「二項間の整列」。機能を持たない部分。市販のラバーグローブ。「硬質な塔」。「ミルフィーユ」。サインペンのような黒い筆致で波打つ線。小さなぬいぐるみ。日常のありふれた風景。
彼の服とそれをまとう身体においても、服は皮膚のように身体に寄り添うのではなく、独立した硬さや重さで、突出したり延長したり余白を含んだりして、身体の稜線とは別のかたちを生んでいる。
日頃、目に見えるすべてに分かりやすさを期待している私たちにとって、一見それらは難解さをともなう。しかし全体に目を向けてみると、それぞれの要素がそれぞれの異なりを認めながら、打ち消されることなく共存していることに気づく。そしてその違和に向き合っていると、やがて、それらがあるべくして構成されたように見えてくる。
つまり彼の作品では、いくつかの要素を結んだ先に真意を示唆している。真意があって、それを間接的に導くために要素を点在させているともいえるかもしれない。
要素は、点を順番通りに繋ぐと決まった絵ができあがるようなものではなく、あるいは星座のように見え方を定められているわけでもない。あくまでも彼の見聞や思考のままに分散している。ゆえに分散した要素だけが意識されるとき、それらはぎりぎりのところで繋ぎ留めうる関係性を潜めているだけにすぎず、ゆるやかな異質さを表出させている。
私にとって、その異質さは不思議と心地のよいものに感じられる。人は慣れ親しんだ環境から離れて別の環境に身を置くとき、少なからず異質さを感じ取る。それは花や木の種類であったり、言葉の抑揚であったり、空の色であったりする。彼の作品に向き合うと、世の中の事象に対してある観点においては誰もがストレンジャーであること、その状態であるからこその居心地のよさやなんらかの面白さがあること、そういったものを認められる気がしている。
Written by Midori Nomura
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会期|2023.07.02[日] – 2023.07.17[月・祝]
時間|12:00 – 19:00(07.08[土]、07.12[水]については11:00 – 17:00)
会場|soco1010:東京都足立区千住橋戸町22-48
お問合せ|11.beepbep@gmail.com (别府星士朗)
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主催|Bep(别府星士朗)
Special Thanks|Midori Nomura、Takumi Sugimoto
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别府星士朗(Bep)
1998年福岡県生まれ。2022年京都市立芸術大学美術学部工芸科染織専攻卒業。ここのがっこうアドバンスドコース在籍。 主な展覧会に「比比」(Media Shop Gallery、京都市、2021) 、「京都市立芸術大学制作展」(京都市京セラ美術館地域、京都市、2023)、「coconogacco exhibition 2023」(Fabcafe Fuji、山梨県富士吉田市、2023)
instagram @11_bep
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